何かの情報を

 何かの情報をこの女性が持っている。そんな気がした。「実は、あの部屋の娘さんが家出をしていまして。それで彼女の行方を捜しているところです」

「ああ、そうなの、やっぱりねぇ。あのねぇ、わたしゃは知っているんだ、怪しい人」「誰ですかその人は」「あの部屋の隣に住む男。三十歳位の男で、五月の十日にあの男の部屋のドアが朝から夕方まで開いていたの」

「たまたまその日が暑くて、それでドアを開けていても、それが怪しい。とは成らないと思いますが」「何言ってんだい、アンタ。あの男、あの日、女を部屋に連れ込んで居たんだよ。男が女を連れ込んでドアを開けておく事があると思うかい。わたしだったらそんな男、ドブ川に捨ててしまうよ」

「そうですか。確かにそれは少しおかしいですね。それはそうと、その日付を良く覚えていましたね」「ああ、それは、その日がわたしの誕生日だったから覚えて居たんだよ。それよりもアンタ刑事なんだろ。あの男を調べて見なさいよ」

「はぁ、まあ、それは警察に任せるとしましょう。ところで、あの建物にはどんな人が住んでいるのでしょうか」その婦人は自分の指を折って数えだした。「えーっとね、全部で……その娘さんを入れて八人。間違いないよ、八人だよ」俺が聞きたかった事とは違う答えが返って来た。

「その中に男性は何人含まれているのでしょうか」「ああ、三階は男性ばかりで四人住んでいて、下の二階にはその部屋の一人だけが住んでいるねぇ」「そうですか、それでは元々この建物は、三階が男性で二階が女性と別れていたのですか」

「ああ、ここはねぇ、元々は女性専用に作られたアパートなの。ほらっ、近くに女子大があるだろ。だがねぇ、こんなに古くなるとねぇ、なかなか若い女性の学生というと思っている以上に集まらなくなってねぇ、それで少し前から男性も入れだしたんだよ」…解明への道程に続く。

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